神々の土地(17年宙組)

 誰のものでもない極北の地と、そこにかつてロシアと分かたれた国に生きた魂たち。ストーリーの主軸となる人物こそいたものの、『神々の土地』は紛うことなきロシア文学的群像劇だった。群像の中には名もなき人びとがいる。それは劇中での民衆と限りなくイコールに近い役名もない組子たちでもある。トップ(コンビ)へのアテガキという宝塚の特性が最も強く出るはずのトップスター退団公演が、人物より物語性に重きを置いたスケールの大きい芝居だったことは意外ではあったものの、却って主演の朝夏まなとさんの舞台での在り方の巧さみたいなものが際立っていたような。

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